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ずっと吐き気がする。夏の暑さではなく自分の気持ち悪さに。

 

ツイッターでみた「シャツ越しのきみの背骨を撫でている きっと遺族になれないのにな」という短歌がとても好き。シャツ越しに背骨を撫でる関係性、シャツ越しでしか背骨を撫でられない関係性。未来に君がいないことを「家族になれない」と詠んだ人はいても「遺族になれない」と詠んだ人はあまりいない気がする。違うのは最初の一文字だけなのに後者には未来の永続性がある。その永続性を獲得できないという切なさが胸を刺す。「遺族になりたい」は最高純度の恋文だな。

 

私には短歌がわからない。わからないので勿論作ることもできない。解説がないと意味を解釈することもできないし、解説を読んでもよくわからないこともある。入門の本を読んでもよくわからなかった。唯一わかったことは、短歌は不自由な制限の中で自由を詠うことが許されているらしいということ。

 

短歌は表現が婉曲的でわかりにくい。けれど婉曲的な表現でないと伝わらない感情や壊れてしまう関係性があるのかも。私はいつか大切な人のためだけに短歌をつくって渡したいという気持ちがある。一人にしか伝わらないような短歌が一番うつくしいから。