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ノイズキャンセリングのイヤホンをつけて仕事をしていると呼び鈴に気づかず不在票だけが入っている。

 

昨日の舞台を観てからずっと私が中学生だったころの記憶を思い出している。思い出すというより浮かび上がってくるという表現の方が近い。意思とは関係のない場所で感情が疼く。最後の中体連の直前に部活の友人と取っ組み合いの喧嘩をしたことがあって、思えばこれが私の最後の喧嘩だった。その友人とはいつの間にか仲直りしていて、部活の引退後は毎日家に行って一緒にゲームをしたり他愛もない話で盛り上がったりしていた。今はもう連絡先すらわからない。

 

精神が身体を制御できずに苦しい感覚があった。逆に今は理性による過剰な制御によってなにもいえず、なにもできない。気力はすでに失われている。ダイニングテーブルの上にある二日前に作ったと思われる餃子につけていたタレ。気が狂う。