248

この時期になるともう会えなくなった友人のことを思い出す。私の知らないところで勝手に救われていてほしいし私の顔も声もすっかり忘れていてほしい。

 

私の好きな焙煎士の方が主催する珈琲ノ席に参加する。蝋燭の灯りだけがある静謐な空間の中でいただく珈琲と甘味の高貴さ。家で淹れるときと同じ珈琲豆を使っているはずなのに味が全然違っていて、珈琲の味は非常に多様な要素によって決定されるのだとわかる。焙煎士にたくさん聞きたいことがあったのだけど、本当に憧れている人の前に実際に立つと何も言うことができない。アイドルの握手会もこんな感じなのかな。