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お気に入りの珈琲豆が届く。いつも丁寧な手紙を添えてくれる焙煎士の気心があたたかい。好きな珈琲豆があるとキッチンを綺麗にしなければと思う。ここ数ヶ月で粗雑になった日常の所作がすこしずつ矯正されていくような感覚。珈琲を飲んだ後の溜息だけが幸福。

 

仕事中、高校の頃とても仲の良かった友人のことをふと思い出す。最近はずっと連絡をとっていなくて、かといって連絡をする用事も口実もなく、この私の気質が友達を日々失わせるのだ、とすこし落ち込む。夜、その友人から他愛もない話題で連絡がきておどろく。私はうれしくて、すこしご機嫌そうな絵文字をつける。

 

足先はもはや死体に近い。エアコンのぬるい風にあたりながら石油ストーブのことを考える。