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今いる地域ではほぼ全員がマスクをつけている。私は懐かしむようにマスクをつける。

 

最近は人や動物に対して死の匂いを感じることがある。これが気のせいで勘違いだと信じること。

 

だいすきな地元の小さな古着屋さんに行く。古い建物の匂い、重厚なレコードの音、いつもの珈琲の味に安心する。閉店時間を過ぎてもずっと店主と話をしていた。かなり歳が離れているにもかかわらず敬語を外して話すことができるのは親戚を除くときっと彼くらいだろうな。彼は珈琲を飲みながら、とても美味しそうに煙草を吸う。

 

家族や親戚から文句を言われ続けた今の私の髪型を彼だけが肯定してくれる。それが私にとってはほんとうにに救いで、すごくうれしかった。