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さいたま国際芸術祭に行く。取り壊し予定の建物全体を大胆に使った展示で、二階の窓をぶち抜いて入口をつくっていたのがよかった。順路が全くわからない悪路設計で、手探りのまま何度も外に出されるのだけど、これが展示全体へと誘導する仕掛けだとしたらすごい。展示と展示以外の境界は非常に曖昧で、床に落ちているレシートですら展示の一部かと疑ってしまう。歩いているうちに存在としての主体の輪郭がぼやけていく。ノスタルジーと不安のあいだの感情。

 

私は芸術がわからない。モチーフについての解説を読むも、なんとなくわかるようで、わからない。とりあえず表層だけ舐めとるも、安易にわかった気にならない。だからこそくるしい。私は展示に行くたび、企画者の意図の一割も汲み取ることができていないのだろうと思う。それがすこしだけかなしい。

 

渋谷でライブを観る。あまりにも神聖で夢かとおもう。帰りに立ち寄った渋谷サクラステージは建物が完成しているもののテナントは未完成のため、開かれて綺麗な建物の中に誰も人がいない異質な空間が広がっていてかなりよかった。綺麗な装飾の施された屋上のイルミネーションに誰も人がいなくて、ここが渋谷の中心地であることを忘れてしまう。