530

まかないで作ってくれたハンバーグは今まで食べたどのハンバーグよりもおいしい。 行くとき道端に落ちていた破れた傘は帰るときにはきれいに折りたたまれた状態で端に避けられていた。その傘を折り畳んだだれかのことを考える。

529

鬱がひどいときに「考えすぎだよ」と友人にいわれて、それは私にはいってもいいけど他の人にいってはだめだよ、とつたえる。大切な友人だから、その人が不用意に周りの人を傷つけてしまうことがないといいなとおもう。 旅の計画をすることは星座をつくること…

528

遠くにいく計画を立てている。ここにいたら気がくるってしまう。貯金をする気がいっさいない。すべてがどうでもよくて。 今週はほとんど誰とも話さなかった。もう会話の仕方をわすれているかもしれない。

527

文章を書く元気がない。愛想笑いも下手。

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私はずっと家にいると社会性を完全に失ってしまうから、出社によって外に出ることを強いられたほうが健康的なのかもしれない。それに家で仕事をしていると寝てしまう。 残業が終わり小雨。まっすぐ電車で帰ろうか迷って、歩く。私が歩き出した途端タイミング…

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無茶な仕事をたくさんふられて頭がおかしくなる。ずさんな管理体制によって肥大化し複雑に絡まった糸はもう誰にもほどき方がわからない。その中に足を踏み入れた私はうまく身動きがとれない。誰も助けてはくれない。だんだんと目の焦点があわなくなる。

524

扁桃腺が腫れていても出社。お昼休みのコンビニにはたくさんの人が並んでいて、昼食を買うことをあきらめる。降りて、昇って、降りて。 音楽が本当に人を救うのなら人身事故で電車が止まることもない。

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家から出られない。ずっと横になっていて頭痛がする。仕事や生活のことを考えるたび憂鬱な気持ちになる。でも私たちは生き続けないといけないから。死を神聖視しすぎないこと。ひかりを求めて歩く行為こそが崇高であると信じること。旅に出ようね。

522

旅を計画する時間はある。目的地は遠ければ遠いほどいい。

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オンライン会議で子どもがお母さんに構ってほしそうにたくさん話している。でもお母さんも、聞いている人も、誰もその声には一切反応していなくて、なんだか少しこわかった。私にだけ聞こえている?私が子どもだったらきっとさみしくて泣いてしまう。 私の最…

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もし今の案件がずっと続くならきっと私は遠くないうちに仕事をやめると思う。 夕食をつくる気力は一切なくて、近所のバイト先でご飯を食べるためにシャワーを浴びて身なりを整える。平日の遅い時間だから席に余裕はあると思っていたけれど、お店にはまだお客…

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起きて、出勤して、退勤して、眠る。 なにも書きたくなくなってきた。私のどんな言葉も無力だから。世界はなにも変わらないから。 あてつけに貴方のことを忘れてあげない。

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先日新幹線に乗ったとき、北上するにつれて車窓を占める桜色の割合が少しずつ増えていってよかった。その日の仙台は桜が満開だった。それが必然かのように。 私は貴方の人生やその幸せに対して責任をもてない。だからどんな言葉も意味をなさない。でも私には…

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三年目にして初めての出社。満員電車は最悪で、気持ち悪くなり途中で降りて歩いて帰る。これがしばらく続くんだ。本当にいやになってきた。すべてを終わらせる。 担当の案件が変わるだけで仕事内容も雰囲気も人の気質もなにもかもが変わるのでほとんど転職に…

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なにを伝えてもすべて私のエゴでしかない。私がなにかを言う権利も資格もない。お土産の賞味期限の日付が意味をなしてほしい。 晴れていてあたたかく、風もない。遠くまでつづく桜と、広い青空にまっすぐと引かれた飛行機雲のこと。

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お客さんからチップをもらったりお酒をもらったりする。今まであまりない経験だったから新鮮でうれしい。お客さんのとなりでまかないを食べる。ずっと笑っていたような気がする。

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髪がかなり長くなってきたけれど、友人の結婚式に合わせるために美容室に行くのを我慢する。前髪をすべて上げて固めたあとにバイト先からお休みの連絡がくる。友人を散歩に誘おうとしてやめる。しょうがすら売っていないスーパーマーケット。牛すじを煮込む。

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今の上司は深掘りすることを「ディープダイブする」という。案件が変わるだけで毎回転職したような感覚になるが、それがいいことなのか悪いことなのかはわからない。 引きこもりだった著者はワーホリで海外に行ったという。文章の端々から経済力の豊かさ、そ…

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新入社員の自己紹介をながめながら、私にはなにもないなとおもう。 今日は仕事をせず五冊ほど本を読んだけれど、それらの感想も、そもそも何の本を読んでいたのかさえはっきりと思い出せない。私はそんな本の読み方しかできなくなってしまったのだろうか。刹…

511

風が強すぎて散歩をあきらめる。風の弱い地域に住みたい。 南西の低い位置にオリオン座があるよ、と友人が教えてくれる。けれど東京の空は明るすぎて、オリオン座をみることすらままならない。同じ空のはずなのに。

510

昨日の深夜ずっと考えてもわからなかった問題は朝起きると嘘のようにすんなりと解けた。眠っている間もずっとその問題について考えていたような気がする。ちゃんと休んでほしい。 カルディの台湾フェアに行くためだけに身なりを整えて外に出る。台灣啤酒の緑…

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桜、桜。春の呪いはしぬまで解けないが、このままでいい。 謎解きのイベントにいく。服に書いてある暗号を解かなければその服が買えないアパレルショップというコンセプト。私は昔からずっと謎解きが苦手で、今日もノーヒントで解けた問題はほとんどなかった…

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「猫の脈拍がもっとゆっくりだったらいいのに」という言葉をみかけて、今日はいい日になりそうと思う。 二人分の賄いをつくったシェフは綺麗に盛り付けられた方を当たり前のように私にくれる。 フィナンシェ作りを失敗して食材に申し訳ないとこぼすと、フィ…

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仕事をしていない。なんとなく外に出ようと思って身なりを整えた瞬間にすべての気力がなくなり布団にもどる。 だめな精神状態でフィナンシェをつくろうとして薄力粉を入れ忘れる。通常ではない精神状態のときにお菓子をつくってはいけない。増大する虚無。祈…

506

お酒をたくさんのむ。日記はおやすみ。

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労働に生活を人質にとられている感覚がかなり強くなってきた。私は人と話したり、人の話をきいたり、なにかを読んだり書いたりするのがすきなのに。どうして。 好きという言葉の多義性のせいで好きな人に好きと気軽に伝えられないのがかなしい。私の好きな人…

504

今日はなにもできなかった。なにがあったわけでもないのに、すべてがむなしくて、ひどくかなしい。それでも、友人のあたたかい言葉ですこし心がほぐれる。私は言葉に生かされている。言葉のなかで生きたいよ。

503

多摩川沿いを歩く。不気味なほど暗く静かな道がずっと遠くまでつづいていてよかった。ここで私が攫われても誰にも気づかれないと思う。夜桜はライトアップされていないほうがいい。

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お昼ごはんのお店を決めるとき、あまり個人的に気乗りしない友人の提案を肯定すると「それは気乗りしてないときのトーンだね」とばれて、すこしうれしかった。私は自分の意見をいわないから、いわなくても伝わる人間だけが周りに残っている気がする。ほとん…

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京葉線に乗るときにだけ存在する感傷の種類があるような気がする。車窓の景色が綺麗だからかもしれない。 高校の頃の友人と会う。話している時間よりも麻雀をしている時間のほうが多くて、それがすこしだけさびしい。