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段ボールを縛っていた紐がほどけて床に散らばる。こころがすっと冷静になる。それらをもう一度縛る気力は残っていない。すべてがおしまいのように感じる。最近は料理すらほとんどできていない。ずっと家にいるのになにもできない私に同居人はなにを思うのだろう。ここ数ヶ月は他人に迷惑をかけ続ける日々で、それが私の精神を大きく削っている。動悸、吐き気、頭痛。生に対する消極性。

 

お金があれば今すぐに仕事をやめたい。仕事をやめてしばらく遠い場所へ旅に出たい。けれど旅をするにはお金が必要で、お金は仕事をしなければ手に入らない。この逡巡を何回か繰り返したのちにすべてを諦める。お金がないのは私に節制をする能力とお金を稼ぐ能力が著しく欠けているからであって、きっと国のせいではない。お金が底を尽きたらいっそ楽になれるのに、ぎりぎり生活ができている今の状態が一番きつい。

 

節制をがんばりたい。けれど旅は絶対に必要な経費であって、旅に出られないのなら私は死ぬ。